「ウマ娘」で熱血キャラのバンブーメモリー。重賞初出走の安田記念で勝利、オグリキャップの好敵手として活躍した (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

■10番人気を覆す結果に

 迎えた安田記念、7枠14番のバンブーメモリーは17頭中10番人気。GIに格付けされて6回目の開催で、過去5回の勝ち馬はハッピープログレス、ニホンピロウイナー、ギャロップダイナ、フレッシュボイス、ニッポーテイオーと、いずれもそれまでに高い実績を残していた馬たち。そこへ重賞初出走でオープン未勝利の馬がこの評価に甘んじるのも無理はなかった。

 しかし、レースでは人気を完全に覆す走りを見せる。道中はやや後方で、1番人気のホクトヘリオスの前を追走。直線に向くと、ホクトヘリオスは大外に進路を取ったのに対し、バンブーメモリーの岡部幸雄騎手は馬場のど真ん中を選択。ダイゴウシュールが抜け出したところに進路を見つけると、これが重賞初出走馬とは思えない抜群の伸びで突き抜けてゴールを駆け抜けた。

 1馬身半差2着のダイゴウシュールも12番人気で、今なら超高配当が期待できる結果だったが、当時、三連単はもちろん馬連もなく、枠連の配当は880円という配当だった。これはダイゴウシュールの同じ6枠にホクトヘリオス、バンブーメモリーの同じ7枠に4番人気のトウショウマリオがいたためで、本命党はいわゆる代用でほっと胸をなでおろしたという。

 その後、バンブーメモリーはこの走りがフロックではないことを示し、短距離~中距離と幅広い距離の一線級で活躍していく。

 また、「堅いレース」とされていた安田記念は、これを機に3年後には11番人気のヤマニンゼファー、2018年には同じように連闘で臨んだ9番人気のモズアスコット、そして昨年は8番人気のダノンキングリーが勝利するなど、「荒れるレース」の性格を強めていく。今年は「堅い」か「荒れる」か、どちらの決着となるだろうか。

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