日本ダービーでは人馬の信頼関係が不可欠。愛馬ととも成長してきた若武者の一発に期待 (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Kyodo News

 時代が変わった今、賞金の高いレースは他にもたくさんあって、海外のビッグレースも身近になってきたため、当時よりも各ジョッキーが抱くダービーへの思いは薄れているかもしれません。もちろん、すべての騎手がそうとは限りませんが、僕としてはいつまでも、ダービーは"騎手人生をかけて勝ちにいく"くらいの気概で挑む、特別なレースであってほしいと思っています。

 手前味噌で恐縮ですが、僕もラッキーなことに1997年にサニーブライアンの鞍上を務めさせていただいて、ダービーを勝つというすばらしい経験をさせてもらいました。

 レースでは、心身ともに大きなプレッシャーで圧し潰されそうになっていた僕を馬が助けてくれました。一方で、馬が苦しくなったところでは僕が叱咤して気合いを注入。まさしく人馬が支え合い、一体となってつかんだダービー制覇でした。

 やはりダービーというレースは、単純に戦績比較だけでなく、目に見えない人馬それぞれの"信頼度"という要素が絶対に不可欠です。そこが未熟では、なかなか勝利することは難しいと考えています。

 実際に2000年以降、ダービーで騎手が初騎乗となる馬が勝利したことは一度もありません。2019年には、ダミアン・レーン騎手と初コンビを組んだサートゥルナーリアが単勝1.6倍という圧倒的な支持を得ましたが、4着に敗れています。

 前置きが長くなりましたが、今回のダービーではここまでの人馬の歩み、そしてこの中間でどんなコンタクトをとってきたのか。予想に際しては、そのあたりに重きを置いて考えたいと思っています。

 結論から言えば、GI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)の上位4頭がレベル的には抜けた存在と見ています。これらに騎乗するのは、福永騎手=ジオグリフ(牡3歳)、ルメール騎手=イクイノックス(牡3歳)、武豊騎手=ドウデュース(牡3歳)、川田騎手=ダノンベルーガ(牡3歳)。いずれもダービージョッキーというのも、強調材料となります。

 さらに、それぞれ皐月賞であれだけの競馬を見せたのですから、鞍上の4人は「ダービーは絶対に譲れない」といった強い気持ちを持って臨むことでしょう。勝ち馬は、この4頭から出る可能性はかなり高いと踏んでいます。

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