荒れる春のGIシリーズ。激戦の皐月賞も渋化馬場で台頭する伏兵2頭が波乱を起こす

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 また、こうした混戦模様にあって、予想のうえで重要な要素となりそうなのが「天気と馬場状態」と松田記者は言う。

「この週末、4月14日(木)と15日(金)の雨がどこまで残るかがポイントになりますね。なにしろ、今週が最終週となる春の中山は、4コーナーから直線にかけて馬場がかなり荒れてきていますから。デビュー以来、良馬場しか経験のない先述の"3強"にとっては、厳しい状況になるかもしれません」

 そこで、松田記者は「こういう時は自分の型にはめ込んだ時に強い馬」として、穴馬候補の一番手にデシエルト(牡3歳)の名前を挙げた。

「1歳の夏に後肢の手術をしたことで、デビューは2歳の12月と遅かったのですが、そこから3連勝を飾ってクラシックに間に合いました。レースでは影に驚いたり、道中でかかったり、まだ荒削りな面が随所に見られますが、能力は相当高いです。

 血筋も超一流で、4代母のダイナカールと3代母のエアグルーヴはともにオークス馬。祖母がエリザベス女王杯を連覇しているアドマイヤグルーヴで、母の全弟には2015年の二冠馬ドゥラメンテがいます。実際、セレクトセールでは2億5000万円(税別)という高値で取引された期待馬です。

 デビュー戦、2戦目の3歳1勝クラスはダート戦でしたが、前走の若葉Sでは鮮やかな逃げ切り勝ちを決め、芝でも走れることを証明しました。やや重ながら勝ち時計は2分00秒2という好タイムをマーク。2着に3馬身差をつけての圧勝でした。

 当時の阪神はタフな馬場になりつつある今の中山に通じるものがあります。その舞台で6ハロン目にひと息入れたあと、その後の3ハロンは11秒7、11秒5、11秒4と加速して、後続を離していきました。

 それでも、まだ力を出しきった感じではなく、この時と同様に自分の展開に持ち込むことができれば、あれよあれよと逃げきってしまう可能性も十分にあり得ます」

 松田記者はもう1頭、トライアル戦を快勝して頭角を現わしてきた馬に注目する。

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