大ケガによる後遺症を抱えるダノンベルーガ。春の大舞台でも最高の輝きを放つことができるか (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 圧巻のデビュー2連勝を飾って、勇躍春の大舞台へと向かうダノンベルーガだが、実はこの馬、幼少期には危うく競走能力喪失になるほどの大ケガを負っているという。その詳細について、関東競馬専門紙のトラックマンが説明する。

「まだ牧場にいた頃、ダノンベルーガは右後脚に大ケガを負って、一時はまともに歩くことさえできなかったそうです。その後、懸命な治療によってレースに臨めるまでになりましたが、ふだんは歩様が乱れるなど、まだ後遺症が残っているとのこと。調教も軽いメニューしか行なえていないのが実情です。

 それでも、競馬にいってこれほどの走りができるのは、『身体の可動域の広さと心肺機能の高さによるもの』とスタッフ。大きなハンデを背負いながらも、2連勝で重賞制覇まで遂げてしまうのですから、その潜在能力は相当なものではないでしょうか」

 そうは言っても、右後脚の不安は成長とともに解消されるわけではない。陣営は先日、GI日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)を大目標にすると発表し、GI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)については「状態次第」とコメントした。これについても、右後脚の不安が関係しているとトラックマンは言う。

「右回りはどうしても右脚に負担がかかるため、陣営は皐月賞の出走に慎重になっている様子です。ここまでの(左回りの)2戦はこれといった反動は見られなかったようですが、その心配が余計に膨らみますからね。高い能力を秘めているのは間違いないので、とにかく今後も、レースでは無事に走り終えてくれることを祈るばかりです」

 まるで薄氷を履むような競走生活を送っているダノンベルーガ。世代上位のポテンシャルをクラシックでも発揮し、最高の輝きを放つことができるのか。我々は期待と不安を抱きながら、同馬の走りを見守るだけである。

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