堤礼実アナがフェブラリーSで見たプロの魂。「泥だらけの福永騎手はカッコよかった」

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 香港スプリントの模様は、レース当日の『みんなのKEIBA』でもお伝えしました。正直、その瞬間の映像を見た時は、人馬ともに命に関わる危険すらあるのではないかと想像するほど、大きな落馬事故でした。

 もちろん、番組中はMCとして情報を伝えるのが我々の使命ですから、何があったとしてもどっしりと構えていなければいけません。私自身、努めて淡々と番組を進めましたが、今までに見たことのないほどの事故でしたし、心の中では「どうか無事でありますように」と、ただただ祈るだけでした。

 福永騎手は意識もはっきりしており、命に別状がないとの確かな情報が入ってきたのは、レース翌日くらいだったでしょうか。本当にホッとしたのを覚えています。

 ですから、これほどの短期間で福永騎手が復帰を果たし、しかも、GⅠを勝ったということには、うれしさや驚きも当然ありますが、やはり安堵の気持ちが一番です。

 傍目には元気な姿に見える福永騎手も、心身ともに100%万全な状態にあるのかといえば、もしかすると、そうではないのかもしれません。

 一度落馬したからといって、馬に乗るのが怖くなってしまったら、騎手という仕事は務まらない。でも、やはり人間ですから、恐怖心が芽生えても不思議はないはずです。

 それでも、騎手のみなさんはケガから1日でも早く復帰し、ひとつでも多くのレースで勝とうと努力している。その強さは、自分には到底真似のできないものだと驚きもするし、尊敬もしています。

 顔を泥だらけにしたまま、勝ったカフェファラオを称える福永騎手の姿には、力を出し切った人にしか出せないカッコよさがありました。長年培ってきた、プロのアスリートとしての意地を見せてもらった気がします。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る