引退厩舎の思惑が絡む中山記念。最後方に構えた牝馬が乱ペースに乗じて漁夫の利を得る (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 そうした戦績からして、仮に僕がこの馬の最後の一戦で手綱を託されたならば、思いきって逃げることを考えます。前走のGIII福島記念(11月14日/福島・芝2000m)で競り合ったパンサラッサ(牡5歳)がいようとも、一歩も引くつもりはありません。

 福島記念では前半1000m通過が57秒3という、超がつくほどのハイペースとなりました。それでも、パンサラッサがハナに行って、そのまま逃げきり勝ち。番手のコントラチェックは息切れし15着に敗れました。

 あの展開で一番苦しいのは、逃げ馬よりも番手にいた馬のほうです。同レースではパンサラッサが4枠8番、コントラチェックが8枠16番で、コントラチェックがハナを奪うにはその枠順の差が響いたように思います。

 もし枠が逆であれば、コントラチェックが逃げていたかもしれませんし、そうであったなら、逆にコントラチェックが逃げきっていたかもしれません。だとすれば、コントラチェックがパンサラッサに敵わないと決めつけるのは早計です。

 いずれにしても、逃げた時に強さを発揮するコントラチェック。ここは何が何でもハナを奪いにいくことが、レース戦略として最善の選択肢になるでしょう。厩舎の指示、そして鞍上の丸山元気騎手もそういう乗り方をしてくるはずです。

 そうなると、このレースも福島記念同様、ハイペースになることは必至。縦長の隊列になることは避けられないのではないでしょうか。

 そういった展開はもう一方の引退厩舎、高橋厩舎所属のカラテ(牡6歳)にとっては、おあつらえ向きの流れと言えるでしょう。

 ここ2年くらいはずっとマイル戦を使ってきた同馬。1800mは気持ち長いため、できれば序盤は脚をタメたいという意識が働くはずです。そういう乗り方が今回の展開にドンピシャにハマりそうな気がします。勝ち負けを演じる有力な1頭と見ています。

 穴馬なら、差しに構えるこのカラテより、さらに後ろから一発を狙うタイプ。面白いのは、マルターズディオサ(牝5歳)です。

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