なぜクロノジェネシスはグランプリレースに強いのか。心配されている凱旋門賞惨敗の影響 (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「(帰厩直後の追い切りでは)ずっとハミに頼って走っているといった感じで、走りそのものに力強さがなかった。自分のフォームで走っていない、という印象を受けました。凱旋門賞での、あのタフな馬場を走った影響は、やはり小さくなかったということでしょう」

 さらに、1週前追い切りでも、CWで82秒2-11秒7という上々の時計をマークしたものの、同馬を管理する斉藤崇史調教師は「体はしっかり動けている」としながらも、「一番いい時に比べると、物足りない」と辛口のコメントを残した。

 グランプリ4連覇の見通しは、決して明るくはない。

 それでも、一流の馬はレースが近づくと、それを察知して自ら体をつくると言われている。クロノジェネシスに残された時間は多くないが、そのわずかな時間のなかで、周囲の予想をはるかに超えるスピードで本調子に持っていくことは、十分に考えられる。

 もしそれが実現できれば、出走馬中ダントツのグランプリ適性を誇る底力が黙っていないだろう。

 今年は、グランアレグリア、コントレイル、ラヴズオンリーユーと、一時代を築いた名馬たちが自身の引退レースで有終の美を飾ってきた。

 はたして、有馬記念がラストランとなるクロノジェネシスはどうか。最後に歴史的な名牝としての金字塔を築いてくれることを期待したい。

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