なぜクロノジェネシスはグランプリレースに強いのか。心配されている凱旋門賞惨敗の影響

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 よく言われるのは、根幹距離と非根幹距離の違いだ。

 競馬において、1600m、2000m、2400mといった伝統的なGIが行なわれる距離のことを根幹距離と言い、それ以外の距離のことは非根幹距離と言うが、2200mの宝塚記念、2500mの有馬記念で勝っているクロノジェネシスは、明らかに非根幹距離で強いことがわかる。

 一般的に、非根幹距離に強い馬はスピードや切れ味を身上とするタイプではなく、パワーとスタミナが勝ったタイプと言われる。そのパワーとスタミナが、根幹距離より100m、あるいは200m長い距離でモノを言うのだと。

 現に重馬場を苦にしないクロノジェネシスの走りを見れば、この馬が"パワーとスタミナに勝ったタイプ"であることがよくわかる。

 また、グランプリレースが行なわれる時期も、大きなポイントとされている。どちらも、春と秋のシーズン最後に行なわれる。しかも、宝塚記念は梅雨、有馬記念は冬の寒い時期での開催ゆえ、より馬場が荒れていることが多く、その分、パワーとスタミナが求められる。

 つまり、グランプリレースは距離といい、馬場状態といい、グロノジェネシスにとって最適な条件下で行なわれる。それこそが、「グランプリに強い」最大の理由と言われている。

 となれば、クロノジェネシスのグランプリ4連覇の可能性はかなり高いと見られるが、今年は過去3戦とはやや事情が異なる。

 昨年の宝塚記念では前走の大阪杯で2着、有馬記念では前走の天皇賞・秋で3着、そして今年の宝塚記念では前走のドバイシーマクラシックで2着と、いずれも好調子を思わせるステップを踏んでのグランプリ参戦だった。

 ところが今回は、前走の海外GI凱旋門賞(フランス・芝2400m)で7着と大敗を喫している。世界最高峰の舞台ゆえ、その結果も仕方がないとされるが、敗因はこれまでに経験したことがないような"極重馬場"だと言われる。

 今回、その反動がないか、大いに心配されているのだ。事実、今月2日に帰厩して初めて追い切りを行なったクロノジェンシスの姿を見た関西競馬専門紙の記者は、凱旋門賞大敗の影響を少なからず感じたという。

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