ウマ娘をきっかけに人気再燃。有馬記念で3年連続3着と競馬ファンに愛された名脇役・ナイスネイチャのストーリー (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

"善戦生活"は翌年も続く。年明けから重賞を4戦して、2着と3着を繰り返した。がしかし、ここで異変が。秋になって挑んだGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)では、15着と生涯で初めての大敗。続くGIジャパンカップも7着。どんなときも好走するあのキャラクターが影を潜めたのだ。

 もうナイスネイチャは終わりなのか。そんな疑問のなかで迎えた3度目の有馬記念。戦前の評価は10番人気だった。

 しかし、この舞台を思い出したかのように、またも名脇役ぶりを発揮。道中は中団を追走すると、外から必死にスパートをかける。最後までしぶとく伸びて、1年ぶりのレースで奇跡の復活を果たしたトウカイテイオー、そして1番人気のビワハヤヒデに続き3着となったのだ。

 レース後、有馬記念3年連続3着という記録は、各所で話題になった。まるで馬がこの舞台を覚えているかのように、きっちり好走する。何より、トップレベルのスターホースが集う有馬記念で、3年にわたり上位に入る実力を持っていたこともすばらしい。

 これだけでもナイスネイチャのキャラクターは十分に確立されたが、もうひとつ、この馬の現役生活のなかで伝えたいレースがある。3度目の銅メダルを獲得した翌年、1994年7月10日に行なわれたGII高松宮杯(中京・芝2000m)だ。

 有馬記念以降も、善戦しながら勝利には届かなかったナイスネイチャ。気づけば前回の勝利は2年7カ月前。誰もが実力を認めつつ、勝つシーンを想像する人は少なかったかもしれない。

 しかし、その瞬間はやってきた。この高松宮杯はダービー馬のウイニングチケットをはじめ、豪華メンバーが集結。そのなかで、ナイスネイチャは念願の勝利を手にしたのだ。

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