ジャパンCはディープ産駒の牡馬には「鬼門」。代わって浮上するのは人気薄の牝馬2頭

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 今年の東京開催ラストを飾るのは、GIジャパンC(11月28日/東京・芝2400m)。今回が引退レースとなるコントレイル(牡4歳)をはじめ、マカヒキ(牡8歳)、ワグネリアン(牡6歳)、シャフリヤール(牡3歳)と、4世代のダービー馬による競演に注目が集まっている。

 なかでも、上位人気が予想されるのは、昨年の三冠馬コントレイルと、今年のダービー(5月30日/東京・芝2400m)を制したシャフリヤール。実際に前評判では、この「2強」対決といったムードが充満している。昨年も三冠馬3頭による「3強」対決が話題となり、その3頭がワンツースリーフィニッシュを決めたこともあって、そうした気運が一段と高まっている。

 しかしながら、過去10年の結果を振り返れば、伏兵の台頭もしばしば見られ、波乱の結果に終わったことも何度かある。3連単では20万円超え、30万円超えといった高配当も生まれており、ひと筋縄ではいかないレースと言える。

 しかも、今年は久々に外国馬が複数参戦。海外での成績を考えれば、いずれも軽視できない存在ゆえ、思わぬ結果をもたらしても不思議ではない。そんな状況にあって、日刊スポーツの松田直樹記者も平穏な決着では収まらないと見ている。

「今回注目されている4世代のダービー馬はすべてディープインパクト産駒。同産駒はダービー通算7勝で、ディープインパクト自身、ダービーも勝って、同じ舞台のジャパンCを制しています。そのため、人気を集めるのもわかりますが、実はジャパンCにおけるディープ産駒の牡馬は0勝。斤量面でアドバンテージがある牝馬の勝利はあっても、牡馬はなぜかその栄冠には縁がありません。

 まず、ダービーとディープ産駒が好相性なのはなぜか。それは、末脚がキレる産駒の特性がレースの開催時期と舞台がマッチしているから。今年のダービーもそうでしたが、3歳馬による東京・芝2400mのレースはどうしても瞬発力勝負になりやすいんです。成長途上かつ距離経験の少ない世代限定戦とあって、多くの人馬が"後半勝負"という組み立てをしてきますからね。

 ところが、古馬一線級が集うジャパンCでは、長くいい脚を使うスタミナも求められます。ここに、ディープ産駒とのミスマッチが生じるのではないか――そう考えられます。

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