ウマ娘の人気キャラで振り返るジャパンカップの名勝負。世界レベルのマッチレースに競馬ファンは熱狂した

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 ウマ娘では才色兼備の完璧なキャラとして描かれるエアグルーヴ。現役時代もまさにその通りで、このジャパンカップの前には、牝馬ながらGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)を制していた。

 そしてこの年、海外から強敵がやってきた。世界各国のビッグレースを走り、積み上げたGⅠタイトルは5つ。凱旋門賞でも2年連続2着に入っていたピルサドスキーである。

 まさに世界トップの実力馬が東京にやってきたのだ。そんな馬と直線で一騎打ちを演じたのがエアグルーヴだった。

 このレースでも盤石のレース運びを見せた「女帝」。盟友・武豊のエスコートのもと、先行策から直線で満を持して抜け出す。まさに100点の競馬だった。

 しかし、世界の名馬はここからが本領。やはり外国人ジョッキー特有の大きなアクションに応えると、エアグルーヴの内に潜り込んで一気に前に出る。女帝も簡単には譲らない。必死に抵抗するが、ピルサドスキーは1度奪った先頭の座を最後まで譲らなかった。エアグルーヴは、クビ差届かず2着に敗れたのである。

 間違いなく世界レベルのマッチレースだった。そして、そんなレベルの走りを見せたエアグルーヴは、この時代の競馬ファンにとって誇りだったに違いない。

 世界対日本。そんな図式のジャパンカップを見られる機会は減ったが、日本馬同士の名勝負が生まれていることも事実。ダービーと同じ舞台で行なわれる秋のGⅠ。勝者だけでなく、敗者にも拍手が送られるような、そんなレースを期待したい。

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