ウマ娘でも描かれるライバル関係。オグリキャップVSバンブーメモリーなどマイルCSで生まれた数々の名勝負 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 最内1番枠からスタートしたオグリキャップはインを進み、バンブーメモリーと鞍上の武豊は、その外から少しずつポジションを上げていった。このコース取りが大きなポイントになっていく。

 直線入口、盤石の態勢で先に抜け出したのは外のバンブーメモリー。いまだ手応えの鈍いオグリが後れを取る中、独走状態になった。

 ただ、ここからオグリの芦毛の馬体はすさまじい闘志を見せる。直線でも最内に進路を取ると、南井のムチにようやく目覚めたか、前方のバンブーメモリーと内ラチの間にできたわずか1頭分の隙間を狙って追いかけてきたのだ。

 スピード衰えぬバンブーメモリー、内から猛然と追い込むオグリキャップ。ぴったりと並んだところがゴールだった。

「負けられない南井克巳、譲れない武豊」

 実況の杉本清アナが口走った言葉である。写真判定の末、勝ったのはオグリキャップ。ゴールの瞬間、本当にわずかの差でオグリが捉えていた。

 激闘と呼ぶにふさわしい2頭の一騎打ち。意地のぶつかり合いをここまで感じたレースは少ないだろう。ちなみにこの翌週、オグリキャップはGⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)に前代未聞のGⅠ連闘に挑む。そして、ニュージーランドのホーリックスと世界レコードの熱戦を繰り広げて2着に健闘した。

 ここまで含めて、記録と記憶に残る1989年のマイルCSだった。

 マイルCSでライバルとしのぎを削った馬といえば、ダイタクヘリオスも外せない。ウマ娘ではテンションが高く、レース序盤から飛ばす快速馬だが、実際にそのスピードは秀逸で、マイルCSも1991年、1992年と連覇している。

 とはいえ、成績にムラがあるのもこの馬の特徴で、あっさり負けることも多かった。そんなダイタクヘリオスがマイルCSでことさらやる気を見せたのは、2頭のライバル牝馬の存在が大きかったかもしれない。

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