北米最大の競馬の祭典、ブリーダーズカップ。馬券が買える3レースで期待の日本馬と海外馬は?

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 そして秋の目標をブリーダーズCとし、札幌記念(8月22日/札幌・芝2000m)から始動。レースはソダシ(牝3歳)の2着に敗れたが、斤量差を考えれば、秋に向けての1戦目として上々の内容になった。

 管理する矢作芳人厩舎は栗東トレセン所属だが、渡米前の検疫期間中は美浦トレセンで調整され、レース2週間前の10月22日に成田空港から決戦の地へと飛び立った。これは春の遠征でも、ラヴズオンリーユーが輸送後に状態が上がるまで少し時間を要するタイプであったことと、トレセンから空港への輸送の負担の軽減を踏まえての陣営の策だ。帯同馬にマルシュロレーヌもいたことで、想定以上に順調にここまで運んだという。

 そのラヴズオンリーユーは海外のブックメーカーでは4~5倍見当の2番人気の評価。凱旋門賞を直前回避したアイルランドの強豪牝馬・ラヴ(牝4歳)や、昨年の勝ち馬アウダーリャ(牝5歳)が3、4番人気ということからも、世界から高い評価を受けていることがわかる。加えて、手綱を取る川田将雅騎手は、渡米直前に金沢競馬場で行なわれたJBCスプリントとJBCレディスクラシックを勝利と、勝負勘が"仕上がった"状態での参戦で期待は高まるばかりだ。

 同馬を抑えて1番人気に支持されているのが、米国のウォーライクゴッデス(牝4歳)だ。デビューは3歳秋と遅れたが、そこから7戦6勝。目下4連勝中で、GⅢを2連勝したのち、GⅡグレンズフォールズS(サラトガ・芝2400m)を勝利。そして前走はGⅠフラワーボウルS(サラトガ・芝2200m)で待望のGⅠ初制覇を果たした。重賞戦線は東海岸で使われており、西海岸での出走はこれが初めて。さらに骨太の相手となる今回は今後への試金石になる。

 一方で、フィリー&メアターフのメンバーについて矢作調教師は「実績はあるけど、手強いメンバーではない。『この距離で、力を出せば勝てる相手』と判断してこのレースを選んだ」と、まったく臆する様子はない。

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