天皇賞・秋、「負のスパイラル」に陥っているコントレイルの完全復活はあるか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 それだけに、コントレイルにとってはここ、天皇賞・秋が重要な一戦となる。ここ最近のモヤモヤした印象を払拭し、自らの威厳を改めて示すうえでも格好の舞台となる。

 まして、コントレイルに残された現役生活はこのレースを含めて、あと2戦。とりわけ、1800m~2000mが適距離と言われるコントレイルにとって、最終戦となるGIジャパンC(11月28日)よりも、この天皇賞・秋のほうが"らしさ"を存分に発揮できるはずである。

 その意味でも、ここはどの馬よりも「勝ちたい」一戦と言える。

 今回は大阪杯以来、およそ7カ月ぶりのレースとなるが、状態はいいという。この中間の追い切りにも乗っている主戦の福永祐一騎手が「今回はすこぶるいい」と太鼓判を押しているほどだ。

 ただ、一抹の不安がある。それは、コントレイルが陥っている"負のスパイラル"である。

「すべては菊花賞から始まりました」

 そう語るのは、関西の競馬専門紙記者だ。

 周知のとおり、三冠を決めた昨秋のGI菊花賞(京都・芝3000m)において、コントレイルはアリストテレスとの壮絶な叩き合いを演じた。それを制して勝ったのはいいが、コントレイルはその反動でレース後に激しく消耗したという。さらに、そこから回復しない状態で、ファンの期待に応えてジャパンCに向かってしまった。

 前述の専門紙記者が言う。

「もともと調教では目立たない馬ですが、だとしても、ジャパンCの1週前の追い切りはさっぱりでした。併せた格下馬に遅れましたからね。あんなコントレイルは見たことがありませんでした。それだけ消耗が激しかった、ということです」

 ジャパンCのコントレイルは、万全な状態ではなかった。それでも、ゲートが開けば、走る馬ほど持てる力を出し切ろうとする。そこで、コントレイルはまた、消耗した。

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