菊花賞は血統から長距離適性を分析。今後の急成長も期待できる2頭は? (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 祖母の父シルヴァーホークはグラスワンダー(有馬記念などGⅠ4勝)の父として知られ、自身もGⅠ愛ダービー2着。産駒はGⅠ英ダービー馬ベニーザディップ、GⅠ英セントレジャーのムタファーウエクなど芝の中長距離馬を多く出している。祖母シルヴァースカヤも芝2500mの仏GⅢミネルヴ賞勝ち馬で、長距離適性が高い血統馬だ。

 ヴィクティファルスは3月にGⅡスプリングS(中山/芝1800m)を勝ったあと、皐月賞9着、日本ダービー14着と春のクラシックはいいところがなかったが、秋初戦のGⅡセントライト記念(中山/芝2200m)は5着とまずまずの成績。ハーツクライ産駒は3歳以降に急激な成長を見せる馬も多く、変わり身に期待したい。

 もう1頭、血統的に魅力大なのがオーソクレース(牡3歳/美浦・久保田貴厩舎)。父エピファネイアは2013年の菊花賞馬で、母はGⅠ宝塚記念(阪神/芝2200m)、GⅠエリザベス女王杯(京都/芝2200m)を勝ったマリアライト。父エピファネイア、母の父ディープインパクトという組み合わせは昨年の2着馬アリストテレスと同じだ。また、同馬とは前述のガリレオの父でもあるサドラーズウェルズのクロスを持つのも共通している。さらに祖母の父エルコンドルパサーは、2006年の菊花賞をレコード勝ちしたソングオブウインドの父と、菊花賞とはかなり縁のある血統構成になっている。

 オーソクレースは昨年、デビュー2連勝でアイビーS(東京/芝1800m)を勝利。GⅠホープフルS(中山/芝2000m)でも2着に入り、その血統背景からもダービー候補と注目を集めたが、骨折で春のクラシックに出走することはできなかった。その後は順調に回復し、前哨戦のGⅡセントライト記念(中山/芝2200m)で3着とまずまずの走りを見せた。母マリアライトは3歳秋時点では2勝馬で、本格化したのは4歳秋。これからどんどん力をつけていく血統だけに、大きな上積みが期待できそうだ。

 以上、今年の菊花賞はヴィクティファルス、オーソクレースの2頭に注目したい。

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