「ウマ娘」でも人気キャラ、菊花賞を制した名馬たち。魅力あふれる名レースを振り返る

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 その後、ライスシャワーはGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)でも、同レース3連覇という前人未到の記録に挑んだメジロマックイーンを撃破する。いつも圧倒的主役を負かす役回りだったが、この馬自身が強くなければこれだけの大記録阻止はできない。長距離戦では無類の強さを誇るスペシャリストだった。

 その翌年、1993年の菊花賞を制したのがビワハヤヒデ。現役時代、たびたび顔の大きさを指摘された馬で、ウマ娘のビワハヤヒデもこの特徴を引き継ぎ、髪の量が極端に多く頭が大きく見えるキャラとなっている。

 そんなビワハヤヒデだが、レースではそつがなく極めてクレバーだった。この世代の三冠レースは、ビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ウイニングチケット、という「三強」が席巻しており、頭文字からBNWと呼ばれた。そして皐月賞はナリタタイシン、ダービーはウイニングチケットが制覇。ビワハヤヒデは春の二冠でいずれも2着。残された一冠、菊の舞台でのタイトル奪取をかけていた。

 その菊花賞は、終始先行したビワハヤヒデが直線で先頭に立つと、あとは後続との差を広げるばかり。ゴールでは2着に5馬身差をつけた。春の鬱憤を晴らすようなワンサイドゲーム。レコードでの勝利だった。

 翌年にもGⅠを2つ勝利。BNWの中で、古馬になってもっとも活躍したのはビワハヤヒデだった。さらに、この馬を語る上で欠かせないのが、1歳下の弟ナリタブライアン。圧倒的な強さで三冠を制し「シャドーロールの怪物」と呼ばれた名馬。この2頭の兄弟対決は実現しなかったが、今でもその光景を見たかったファンは多いだろう。ちなみにウマ娘では、この2頭の関係が姉妹として描かれている。

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