大本命ソダシは秋華賞で本当に勝てるのか。追い風となる材料はいっぱいあるが...

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

 振り返れば、およそ3カ月前のGIオークス(5月23日/東京・芝2400m)。それまで5戦無敗。同世代相手に無敵を誇り、「走らない」と言われ続けてきた白毛馬の歴史を次々と塗り替えてきたソダシが、最後の直線でよもやの失速。単勝1.9倍という断然の支持を得ながら、掲示板にも載らない8着に沈んだ。

 敗因は、2400mという距離が長すぎた。それが、大方の見方だった。

 だが、「距離不向き」というだけでは説明し切れぬ、ソダシ自身が抱える競走馬としての"本質的な弱点"を、その敗戦に見た――そんな思いに捉われたのは、筆者だけではないだろう。

 はたして、ソダシはこのオークスでの敗戦を乗り越えることができるのか。

 そういった大きな意味を含んでの札幌記念挑戦だった。そこで、ソダシは見事に結果を出した。主戦の吉田騎手と同じく、関係者も、多くのファンも「これで秋が楽しみになった」と本当に思ったことだろう。

 迎える秋初戦は、「牝馬三冠」最終戦となるGI秋華賞(10月17日/阪神・芝2000m)である。札幌記念の結果と内容を見る限り、まさに視界は良好のように思える。

 しかし一方で、こんな声もある。

「ソダシの札幌記念の勝利には、恵まれた面もあった。当日は前が止まらない先行有利の馬場で、その馬場で楽々と先行できた。しかも、斤量が52kgと恵まれた。加えて、最大のライバルであるラヴズオンリーユーは道中で不利があったりして、力を出しきれなかった。一見強い競馬に見えたけど、その印象どおりには評価できない」

 関西の競馬専門紙記者である。だが、この記者はそう言いながら、秋華賞で勝利に最も近いのは「ソダシ」とも言う。

 理由はいくつかある。GIを勝つための理想的なステップを踏めたこと、札幌記念で2000mという距離をこなせたこともそうだ。さらに、秋華賞で追い風になるのは、「オークスで負けたこと」だと語る。

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