100回目の凱旋門賞で武豊か日本馬の初勝利なるか。相手は「チャンピオンクラスだらけ」の欧州馬たち (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 ここで白羽の矢が立ったのは、短期免許で何度か来日経験があるミカエル・バルザローナ騎手。フランスにおけるゴドルフィン所有馬の主戦騎手だが、今年はフランス調教のゴドルフィン所有馬の出走がなく、さらに同所有馬を多く擁するA.ファーブル厩舎からの出走もなかったことから騎乗予定馬がいなかったのだ。

 今回のディープボンド陣営には、バルザローナ騎手が来日した際の身元引受先だった角居勝彦調教師(当時)の息子・角居和仁助手がいたことが縁となり、バルザローナ騎手も快諾。9月29日の最終追い切りにも駆けつけて、本番に向けてしっかりとコンタクトを取ることができた。バルザローナ騎手としても、凱旋門賞は2着、3着はあるものの勝利はない。悲願達成に強い思いを抱いているのは同じだ。

 しかし冒頭で触れたように、今年はマーフィー騎手が「チャンピオンクラスだらけ」と表現するほどの好メンバーが立ちはだかる。

 ブックメーカーで目下の1番人気は、アイルランド調教のタルナワ(牝5歳)。前走GⅠアイルランドチャンピオンS(レパーズタウン/芝2000m)で2着に敗れるまで、3つのGⅠを含む5連勝中だった。その中には、パリロンシャンで行なわれた昨年のGⅠヴェルメイユ賞(芝2400m)とGⅠオペラ賞(芝2000m)での勝利も。昨年はオペラ賞ではなく、同日に行なわれた凱旋門賞に出ていても好勝負になったのではないかと言われていたほどで、今年は満を持しての出走となる。

 そのタルナワと人気を二分するのが、GⅠイギリスダービー(エプソム/芝2410m)、GⅠキングジョージⅥ&クイーンエリザベスS(アスコット/芝2390m)と連勝中のアダイヤー(牡3歳)。英ダービーは7番人気での出し抜けでフロック視もされたが、続くキングジョージではミシュリフのほか、今回も出走するラブ(牝4歳)、ブルームを相手に好タイムの"横綱相撲"で勝利した。今回はそれ以来の一戦だが、対戦成績からも侮れない。

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