秋のGⅠ初戦・スプリンターズSは、「父仔」「母仔」制覇がかかる2頭に注目

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Kyodo News

 中山では昨年のGⅢオーシャンSも勝利して3戦1勝とコース適性もある。"3度目の正直"で春秋のスプリントGⅠ制覇の可能性は高い。

 父ロードカナロアは2012年、2013年のこのレースの勝ち馬。ダノンスマッシュは高松宮記念で父仔制覇を果たしているが、ここも勝利すれば父仔2代で春秋のスプリント制覇ということになる。過去にスプリンターズSは父仔制覇がないので、それも達成すれば史上初だ。

 6歳馬の優勝は2014年スノードラゴン、2015年ストレイトガール、2017年レッドファルクスと、過去10年で3勝。ロードカナロアは4、5歳時での連覇だったが、ダノンスマッシュは初GⅠが5歳暮れと、父よりやや晩成傾向があるので、ここも力を発揮できるはずだ。GⅠ3勝目に期待したい。

 父系からではないが、血統という意味では触れておきたい馬がジャンダルム(牡6歳/栗東・池江泰寿厩舎)。同馬は母ビリーヴが2002年の勝ち馬という血統馬だ。父キトゥンズジョイは、米GⅠターフクラシック招待Sなど芝10~12Fの勝ち馬で、産駒も芝中距離タイプが多い。だが、GⅠ英2000ギニー(芝8F)のカメコ、米GⅠBCターフスプリント(芝6.5F)など、芝短距離~マイルのGⅠ馬も出している。

 ジャンダルムは2歳時にGⅡデイリー杯2歳S(芝1600m)を制し、GⅠホープフルS(芝2000m)2着など、マイルから2000mを中心に出走していたが、今年、初めての1200m戦である春雷S(中山)を快勝。ハイペースに戸惑いなく4番手につけ、直線でアッサリと抜け出す完勝だった。

 GⅢ北九州記念(小倉)こそ7着に敗れたが、前走のGⅡセントウルS(中京)では大きく出遅れながらも、上がり3Fがメンバー中最速となる32秒6の末脚で、勝ち馬から0秒2差の4着と好走している。好位からも後方からも競馬ができる自在性は大きな強みだ。

 以上、今年のスプリンターズSは、"父仔制覇"がかかるダノンスマッシュ、"母仔制覇"がかかるジャンダルムの2頭に注目したい。

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