ウマ娘でもオグリキャップは食いしん坊。武豊と勝利した2つの名レース

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 競馬を題材にしたスマホゲーム「ウマ娘 プリティダービー」には、個性豊かな"ウマ娘"たちが数多く登場する。いずれも実在した名馬がモデルとなっているが、その中には食いしん坊キャラが定着しているウマ娘もいる。「オグリキャップ」だ。

1990年の安田記念では武豊と組んで完勝の走りをしたオグリキャップ1990年の安田記念では武豊と組んで完勝の走りをしたオグリキャップこの記事に関連する写真を見る ウマ娘のオグリキャップは、とにかくよく食べる。たとえばアニメ版では、オグリキャップが登場する際、必ずといっていいほど大量の食事をしていた。走るのと同じくらい、食べることが好きな性格なのかもしれない。

 こんなキャラクターになったのは、実際の競走馬オグリキャップが大食いで有名だったから。牧場時代、雑草でも何でもとにかく口にしていたという。現役時代も、いくら過酷な連戦で疲労が溜まろうと、食欲だけは落ちなかった。

 そんな逸話を持つオグリキャップだが、この馬を語るうえで欠かせないのは引退レースでの復活劇だろう。地方競馬で圧倒的な強さを見せ、やがて中央競馬に殴り込んだオグリキャップ。引退レースまでにGⅠを3勝し、競馬の枠を超えた国民的スターホースになっていた。そのオグリが突如不調に陥り、5歳(旧6歳)となった1990年の夏から秋に3連敗を喫したのである。そこで陣営は、12月の有馬記念(中山・芝2500m)での引退を決め、最後のレースに送り出したのだ。

 スターホースの引退戦。競馬ファンだけでなく、日本全国の人々が見守る中、オグリキャップは勝利を手にしたのである。まさしく競馬史に燦然と輝く感動のシーンだ。

 詳しい有馬記念の話は記事の最後にとっておくとして、このレースでオグリキャップの復活を託されたジョッキーが天才・武豊。そうして勝利を手にしたのだから、これ以上のドラマはない。この有馬記念をもって、オグリキャップと武豊をベストコンビという人も多い。

 ただ、このコンビで挑んだレースはもう1つある。それが、1990年5月のGⅠ安田記念(東京・芝1600m)だ。そしてこのときも、完璧な勝利を飾った。その走りを振り返ると、改めてオグリキャップと武豊はすばらしいコンビだったと思える。

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