日本ダービー、エフフォーリアにとっての「敵」と人気の盲点となる穴馬 (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 これまでの競馬を見ても、操縦性が高く、展開に左右されないのが強みだと思います。ダービーでは時として、相当なハイペースになることがありますが、超乱ペースにでもならない限り、大崩れするシーンは想像に難しいです。今年は逃げ争いになるようなメンバー構成ではありませんから、なおさらです。

 課題を挙げるとすれば、プレッシャーでしょうか。

 鞍上は5年目の横山武史騎手。若いながらも技術の高さがうかがえ、昨年は関東のリーディングジョッキーになるなど、ここまで十分な成績も残しています。ただし、ダービーという舞台、ましてや1番人気の大本命馬に騎乗するとなれば、なかなか平常心ではいられません。

 週中のトレセンでは普段どおりに過ごしていても、レース当日になって、急にプレッシャーが襲いかかってくることは容易に想像できます。彼自身、競馬学校時代に父である横山典弘騎手がワンアンドオンリーで制する姿を見て、ダービーへの思い入れが深まったと聞きます。まだ若くても、その重みは強く感じるものだと思います。

 最近のことは知りませんが、私が現役だった頃はダービー当日、寮の職員さんに作ってもらう定食の中に、普段はあるお味噌汁がありませんでした。「なんでないの?」と聞くと、「"みそ"がつくことがないように」と言われました。

 ホースマンに限らず、競馬に関わる人は皆、ダービーを迎えると、そうやって験を担いだり、いろいろと気を遣ったりするものです。関係者にはそれだけ思い入れの強いレースですから、レースの勝ち負けにかかわる当事者となれば、その重圧は計り知れません。それに、横山武史騎手が耐えられるかどうか。

 僕もサニーブライアン(1997年)で勝った時は、本番までに何度も何度も頭の中でレースのシミュレーションをしました。それで、寝ようと思っても寝られませんでした。横山武史騎手もいろいろなことを考えるはず。ダービーは馬だけでなく、騎手も自分との戦いに打ち勝たなければいけません。はたして、どんな騎乗を見せるのか、注目です。

 エフフォーリアに太刀打ちできる存在をピックアップするなら、キャリアが浅く、伸びしろのある馬でしょうか。

 面白いのは、シャフリヤール(牡3歳)です。デビュー2戦目のGIII共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)では力を出し切れなかったように映りましたが、3戦目となる前走のGIII毎日杯(3月27日/阪神・芝1800m)ではレコード勝ち。ポテンシャルの高さを示しました。

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