2021.04.27

「ウマ娘」でもヒールのライスシャワー。最後はファンに愛された名馬

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 その後、ライスシャワーは長いスランプに陥ってしまう。3連覇阻止から2年間、勝ち星は遠のき、2、3着が精一杯だった。まるで2度のGⅠ制覇で役目を終えたかのように、精彩を欠いていく。

 さすがにもう復活はないだろう――。ファンもそう思い始めた中、復活のときはやってきた。1995年4月23日、3連覇の阻止から2年後の天皇賞・春だった。

 混戦ムードと言われたこの年の"春の盾"。戦前の雨で芝コンディションは「重馬場」。水分を含んだタフな状態だった。

 障害を除くJRAのGⅠレースで、天皇賞・春は最長距離となる。向こう正面のバックストレッチからスタートし、約1周半で勝負を決めるマラソンレースだ。スタートから先行したライスシャワーは、まず1周目のホームストレッチで6、7番手を追走した。

 動きがあったのは、向こう正面に差し掛かったとき。黒い馬体がすっと先頭に立ったのだ。京都競馬場は、2コーナーから3コーナーにかけて4m近い高低差があり、3コーナーまで上り坂、3コーナーから4コーナーにかけて下り坂の構造。「淀の坂」といわれる名物で、この坂を越えるまでは動かないのが勝利のセオリーだった。

 だが、ライスシャワーは坂の手前からロングスパートを敢行して先頭に立った。そのまま坂を越え、4コーナーでさらに力強く他馬を引き離すと、最後の直線では外から追い込んだステージチャンプをギリギリ抑えて、2年ぶりのGⅠ制覇を決めたのである。