2歳王者を下したタイトルホルダー。激戦クラシックのカギ握る重要な存在 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 その宿敵ダノンザキッドに一矢報いたのが、弥生賞。デビュー戦以来、久々に逃げの手に出ると、スローペースに持ち込んで悠々と快走し、直線に入った瞬間には後続をスッと突き放した。そのまま最内で粘って、ライバルたちの追撃を封鎖。3着に沈んだダノンザキッドを含め、2着以下に1馬身4分の1差をつける完勝劇を披露した。

 この結果、一躍脚光を浴びる存在となったタイトルホルダー。陣営の手応えも増しているようだ。その様子を関東競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「タイトルホルダーの姉メロディーレーンは馬体重が350kg以下。かなり小柄な競走馬として有名です。でも弟は、『まったく違うタイプで、体はしっかりしているし、力強さがある』と栗田調教師。同師が調教師になる前、母のメーヴェを担当していたこともあって、思い入れの強い一頭のようです」

 勝ったレースは、いずれも逃げてつかんだもの。その背景には、この馬の気性面も関係しているという。トラックマンが続ける。

「栗田調教師によると、『もともと他馬を気にするところがある』とのこと。その分、先頭で引っ張る形が合っているのかもしれません。また、2番手に控えた東スポ杯2歳Sでは『少し行きたがっていた』というので、気性面の課題は若干あるようです。

 ともあれ、馬具の工夫などで『徐々にコントロールの課題は解消されてきた』と栗田調教師。本番へ向けて、レースの幅は広がりを見せており、陣営の期待も膨らんでいるのではないでしょうか」

 前哨戦で大本命を蹴散らしたタイトルホルダー。本番の皐月賞ではどんな競馬を見せるのか。激戦のタイトル争いにおいて、カギを握る1頭であることは間違いない。

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