堤礼実アナが記念すべき「宙に浮いた」日。新人騎手と自身の初陣を語る (2ページ目)

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 みなさん、人間はあまりに緊張すると宙に浮くって知っていますか?(笑)

 何をバカなことを言っているんだと思われるでしょうが、その時の私がまさにその状態でした。足の裏の感覚が麻痺して、立っている感覚がなく、隣にいた同期のアナウンサーに「今、私、立ってる?」と聞いたくらいです(苦笑)。

 今でも生放送は緊張しますが、あのときの私は本当にガチガチで、自分の力を発揮する以前の問題でした。

 そんな自分と比較するのもおこがましいですが、新人騎手のみなさんはのびのびとしていて、自らのパフォーマンスをいきなり発揮してしまうのですから、不思議というか、信じられません。自分の苦い経験を思い出すと、そのすごさが改めて身に沁みます。

 気になるふたりの女性騎手、古川奈穂騎手と永島まなみ騎手も先日、記念すべき初勝利を挙げました。偶然にも、同一週のレースで、ともにデビュー12戦目のことでした。

 驚くべきは、古川騎手は1番人気のバスラットレオンに騎乗しての勝利だったこと。人気がある馬に乗るということは、それだけプレッシャーも大きく、責任がのしかかるものだと思います。

 私もわりとプレッシャーをかけられたほうが燃えるタイプではありますが、もし自分が同じ立場だったら、デビュー直後のまだ自信がない状態で1番人気の馬に乗るのはかなり怖いはず。それこそ、体が宙に浮いてしまうかもしれません(苦笑)。

 でも、古川騎手はそうした恐怖心や重圧を撥ね退けて勝利をつかみました。精神的な強さも相当なものなのでしょう。

 こうなると、楽しみなのは先輩・藤田菜七子騎手との対戦です。3人の女性騎手が同じレースに騎乗する日がやって来るのも、そう遠くはないのかもしれません。そういう日がいずれは訪れると思っていましたが、現実味が一段と増して、待ち遠しくなりました。

 もちろん、女性騎手だけを応援するわけではありませんが、中央競馬に女性騎手は3人しかいませんし、私自身、やはり同じ女性として、彼女たちの活躍はうれしい気持ちになりますね。

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