ナリタブライアンの怪物への「確変」を目の当たりにした朝日杯の爆走 (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

 この時も、3角すぎから進出し、先行馬群に追いつくまでは、南井騎手の手が激しく動いていた。しかし、大外を回って4角手前で馬群をとらえると、あとはワンサイドゲーム。直線、早々に先頭に立つと、他馬が前に進もうと懸命にあえぐなか、ナリタブライアンは鞭も使わずに悠然と疾走。他馬との差をみるみると広げていった。

 結果は2着に3馬身半差の快勝。のちに「シャドーロールの怪物」と称された同馬が、その一旦を垣間見せた瞬間と言えるだろう。

 この朝日杯3歳から朝日杯FSに名称を変え、舞台も中山から阪神に移った「2歳王者決定戦」が今年は12月20日に行なわれる。

 昔も今も、2歳馬の頂点を決める一戦ではあるが、2歳馬の距離体系が整備されたこともあって、ナリタブライアン以降、ここを勝って、翌年のダービーも制覇――という馬は出てこなくなってしまった。

 再び、朝日杯から常識外れの"怪物"が出てこないものか。ナリタブライアンの雄姿を思い出しながら、そんな期待を膨らませている。

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