ジャパンC、ダービージョッキーが示す3強の優劣と気になる伏兵の存在

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 もともとアーモンドアイは、一戦ごとに完全燃焼するタイプなので、休み明けのフレッシュな状態のほうがよく、レース後は反動が出るので、体調を戻すのに時間がかかると言われていました。それは、こうした戦績からも明らかでしょう。

 そして今回は、天皇賞・秋から中3週。レース後、すぐに天栄に放牧へ出て、ギリギリまでそちらに滞在していたようですね。在厩調整でうまくいかなかった安田記念の反省を生かしてのことだと思いますが、それで、どこまでの態勢に仕上がるのか、気になるところです。

 次にコントレイルですが、体調面においてはアーモンドアイ以上に、懸念材料があります。

 菊花賞では、コントレイルにとって初めてとも言える、ゴールの瞬間まで気が抜けない大激戦を経験しました。3000mという距離が本質的に長かったことに加え、アリストテレスの大健闘によって、最後まで目いっぱいの、非常にタフな競馬を強いられました。

 これまでの競馬が楽な勝ち方ばかりだっただけに、心身ともに相当な疲れがあったことは、容易に推測できます。

 昔から、菊花賞に出走した3歳馬は、ジャパンCに出てくるとおおよそ苦戦しています。その反面、菊花賞から有馬記念に向かった3歳馬は比較的好勝負を演じています。そうした傾向を踏まえれば、やはり3000mの菊花賞を走った疲れを癒して立て直すには、ジャパンCまでの間隔では詰まりすぎている、ということなのでしょう。

 さらに、コントレイルはGII神戸新聞杯(9月27日/中京・芝2200m)から始動しているので、ジャパンCがこの秋3戦目。2歳秋と3歳春は余裕のあるローテーションで走ってきただけに、レース過多による疲労の蓄積も気になるところです。

 その点、デアリングタクトは、体調面に関しては3頭の中で最もいい状態にあるのではないでしょうか。

 ローテーション的にもゆとりがあって、秋華賞がGIオークス(5月24日/東京・芝2400m)からの直行。今回はそこから中5週で、秋2戦目ですからね。中5週というのは、GI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)→オークスと同じ間隔ですから、調整もしやすいと思います。

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