ジャパンCに満を持しての参戦。仏GⅠ馬には好走できる計算がある

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

"無敗の牡牝三冠馬"コントレイルとデアリングタクト、芝GI8勝馬アーモンドアイの"ドリームマッチ"に沸く今年のGIジャパンC(東京/芝2400m)。その名に相応しい世界に誇れるレースになりそうだが、世界が見つめるのはこの主役候補の3頭だけではない。唯一の海外招待馬としてフランスから参戦するウェイトゥパリス(牡7歳)がその1頭だ。

ジャパンCが最後のレースになるウェイトゥパリスジャパンCが最後のレースになるウェイトゥパリス 今回、ウェイトゥパリスはジャパンCに出走するのにあたり、賞金とは別に報奨金を得ることができる。勝てば300万ドル(約3億1000万円)、4着以下でも20万ドル(約2000万円)という、インセンティブとしても破格の金額。この報奨金がもらえるのは、指定国外競走のひとつであるフランスのGⅠサンクルー大賞(サンクルー/芝2400m)を勝っているからだ。

 もちろん、この報奨金があっての参戦でもある。今年のフランス競馬は、コロナ禍でレースの開催、賞金ともに縮小となり、誰もが大きなダメージを受けた。その補填として「タダもらいの20万ドル」があるなら......という動機は否定しない。

 しかし、陣営の本当の思惑はそちらではない。ウェイトゥパリスを管理するアンドレア・マルチアリス調教師は、同馬が報奨金の条件となるレースを勝つ以前から、ジャパンCを視野に入れていたからである。

 話は1年前に遡る。GⅠ凱旋門賞(パリロンシャン/芝2400m)の前哨戦であるGⅡフォワ賞(パリロンシャン/芝2400m)で2着に敗れた際、マルチアリス調教師は「次は凱旋門賞には行かず、カドラン賞(GⅠ/パリロンシャン/芝4000m)へ」と話していた。そこで「その先にジャパンCという選択肢はないのか?」と尋ねると、「この馬に合う馬場だと思うし、大変興味もある。しかし、挑むにはまだ力が足りない。もっと力をつけてからでないと」と慎重な姿勢を見せていた。

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