マイルCSはグランアレグリアとサリオスが2強。だが不安材料もある (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 レース間隔にも懸念ありだ。グランアレグリアはこれまで3勝したGⅠレースに、すべて中9週以上の間隔を開けて出走していたが、今回は中6週での出走となる。グランアレグリアが中8週以下で出走したのは昨年のNHKマイルC(中3週)だけで、単勝1.5倍の圧倒的1番人気ながら、4位入線からの5着に敗れている。当時より心身ともに大きく成長しており、杞憂に終わる可能性も大きいが、不安点であることは否定できない。

 一方のサリオスは、今回と同じコース・条件で行なわれた昨年のGⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神/芝1600m)でGⅠ初勝利。この春はクラシック戦線を歩み、GⅠ皐月賞(中山/芝2000m)2着、GⅠ日本ダービー(東京/芝2400m)2着と中長距離戦線で好走を続け、秋の始動戦・GⅡ毎日王冠(東京/芝1800m)を3馬身差で圧勝してここに臨む。皐月賞、日本ダービーで負けたのは"無敗の三冠馬"コントレイルで、他馬には常に1馬身1/4差以上をつけているのが高く評価できるポイントだ。

 サリオスはこれまで4勝を挙げているが、まだ3歳でキャリア6戦ということもあり、適性距離がはっきりしない段階とも言える。1600mでGⅠを初めて勝ち、GⅢサウジアラビアロイヤルC(東京/1600m)では1分32秒7の2歳コースレコードを出してはいるものの、どちらも2歳時のパフォーマンスであり、古馬の一線級マイラーと対決するのは今回が初めて。前走の毎日王冠からは出走馬のレベルが1枚も2枚も強力で、スピード自慢の馬たちの中に入ってレースの流れに乗れるかも不透明だ。

 このレースの3歳馬は2017年ペルシアンナイト、2018年ステルヴィオと、近3年で2頭が勝利しているが、この2頭は4番人気、5番人気と、比較的気楽に乗れる立場だった。サリオスはグランアレグリアに次ぐ2番人気になりそうだが、昨年2番人気のダノンキングリーは5着、2014年1番人気のミッキーアイルは13着と敗れており、"人気の3歳馬"には厳しいレースとも言える。

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