秋華賞でデアリングタクトに死角あり?一抹の不安をあら探しした (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 ひとつ、懸念の声を拾うなら、トライアルのGIIローズS(9月20日/中京・芝2000m)を回避したことか。確かに当初、そこから始動するプランもあったが、それはあくまでも秋華賞直行と両にらみで、ローズSをどうしても使いたい、ということではなかった。

 そもそも間隔が開くことを苦にしないタイプ。新馬勝ちのあとも、およそ3カ月の休養を経て、2戦目のエルフィンSを圧勝している。秋華賞直行は、勝つために、より万全を期した結果だろう。

 ましてや、ここ2年の秋華賞馬、アーモンドアイも、クロノジェネシスも、オークスから直行というローテーションで勝っている。トライアルを使わなかったことがマイナスになることはない。

 正直、相手関係にも恵まれた。秋華賞の前哨戦を勝ってきた馬は、いずれも今春戦ってきた既成勢力。それらとはすでに勝負づけが済んでおり、デアリングタクトを脅かすほどの"新星"が登場することもなかった。

 こうなると、デアリングタクトの三冠達成に「死角なし」という見方に、異論を挟む余地はない。

 それでも、あえて"重箱の隅をつつく"とすれば、秋華賞の舞台設定。トリッキーなコースとして知られる、京都・芝2000mの内回りで行なわれることだ。関西の競馬専門紙記者が言う。

「この舞台は、展開によって紛れが起こりやすい。人気馬がよく取りこぼすことでも知られています。アパパネやジェンティルドンナも勝つには勝ったけれども、かなり危ないレースぶりでした。

 デアリングタクトにしても、極端な、厳しい展開になったりしたら、どうなるか......。もし何かのアクシデントに巻き込まれたりすれば、取りこぼしがあってもおかしくありません」

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