ローズSで狙うべきは「春の実績馬」か、
それとも「夏の上がり馬」か

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 とはいえ、勝ち馬からコンマ7秒差の9着なら、大健闘と言っていいでしょう。流れに乗れれば、結果は違っていたはずです。

 2016年のGII青葉賞を勝った全兄ヴァンキッシュランに似ていて、競馬ではしぶとく、長く脚を使うタイプ。切れ味勝負になりがちな阪神・外回りより、直線がタフな設定となっている中京のほうが、リリーピュアハートのよさが生きると思います。これまでの2勝はどちらも間隔が開いたレースで挙げており、夏場の休養で430kg台だった馬体に成長が見込めるのも好材料です」

 松田記者ももう1頭、それも、冒頭で強調していた「春の実績馬」ではなく、あえて「夏の上がり馬」から推奨馬を挙げた。

「リリーピュアハートと同じ藤原英昭厩舎所属のシャレード(牝3歳)です。前走の1勝クラス(7月26日/新潟・芝2000m)では、直線でずっと内にもたれて、鞍上が左ムチで修正し続ける難しさがありながら、1完歩ごとに伸びて差し切り勝ち。2着とはクビ差でしたが、着差以上の強さを感じました。

 春先は脚を使い切れていない印象でしたが、距離を少しずつ延ばして、よさが出てきました。近親には海外のGI馬が複数いる良血で、素質はかなりのもの。前走が覚醒の予兆だったとすれば、重賞でもやれてもいいと思います」

 デアリングタクトが無敗の三冠を狙う3歳牝馬戦線。秋華賞で同馬を脅かす存在がここから出てくるのか。ここに挙げた3頭は、その可能性をも秘めた"穴馬"候補である。

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