穴党記者が腕ぶすクイーンS。
北の大地で波乱を呼ぶ3頭を狙い撃ち

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 リープフラウミルヒについては、坂本記者もオススメする。

「福島牝馬Sでは中団から長く脚を使って、馬群から抜けてきました。そのレース内容はもちろん、勝ったフェアリーポルカ(牝4歳)にコンマ1秒差という結果にも、大きな価値があります。ここに来て成績が安定している理由は、管理する相沢郁厩舎の佐藤美世人厩務員によると、『一番はカイ食いがよくなってきたこと』だそうです。馬体が締まって、充実期を迎えている感があります。 

 前走のマーメイドSの敗因はつかみ切れませんが、広い阪神コースで馬群の外目を回らされて、脚が溜まらなかったように思います。うまく前に壁を作って運べれば、違うはずです。おまけに、札幌が得意なステイゴールド産駒で、実際にこの舞台では2勝を挙げて相性は抜群。鞍上の丹内騎手も、『洋芝はすごくいい。レースぶりから力をつけているのは明らかで、追い切りもいい動きだった』と色気を隠すことはありませんでした」

 坂本記者ももう1頭、気になる存在がいるという。

カリビアンゴールド(牝6歳)です。コース適性の高さから、推したい1頭です。昨年のこのレースでは、3着と善戦。前走のオープン特別・巴賞(7月5日/函館・芝1800m)でも3着と好走し、洋芝適性の高さを改めて示しました。こちらも、ステイゴールド産駒で、長く脚が使える機動力が魅力です。

 陣営も『状態はすごくいい。函館で1回使ってピリッとして、体もよくなっている。年齢的にもラストチャンスのつもりで、重賞タイトルを獲りにいきたいですね』と、気配のよさを強調するとともに、レースに向けての強い意気込みを感じました」

 今年は"これ"といった抜けた存在が不在。まさしく混戦模様と言える。「牝馬重賞は荒れる」と言われるとおり、かつてないほどの波乱が起こってもおかしくない。その一端を担う馬が、ここに挙げた3頭の中にいるかもしれない。

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