ディープインパクトの死で失われる「方程式」。その存在感は色褪せない

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

◆堤礼実アナ「厳選フォトギャラリー」はこちら>>

 ディープインパクトが不慮の死を遂げたのは、昨年(2019年)の7月30日。あれから、もう1年になる。

 ただ、それほど時間が経ったのかと思うくらい、ディープインパクトはいまだに、少しも色褪せることのない存在感を放っている。

「不在」の「存在」。

 いないことがかえって、いるかのような、強烈な存在感を生む――そんな思いにさえ、とらわれる。

種牡馬になって、牧場でゆったりと過ごしていた頃のディープインパクト種牡馬になって、牧場でゆったりと過ごしていた頃のディープインパクト なにしろ、ディープインパクト自身はこの世にいないにもかかわらず、彼の実績として刻まれる名誉や数字的なものが、健在だった時と少しも変わらずに推移し続けているからだ。

 2012年から君臨しているリーディングサイアーの座は、昨年も難なく保持。今年もここまで、賞金額で2位のロードカナロアに倍近い差をつけて、定位置のトップを守り続けている。その座をこのままキープして、今年で9年連続のリーディングサイアーとなることは確実だ。おそらく、わずかなラストクロップがクラシックに挑む3年後ぐらいまで、その記録は伸び続けるのではないだろうか。

 しかも今年は、その産駒からコントレイル(牡3歳)という無敗のダービー馬が誕生した。ただ勝ち鞍が多いとか、獲得賞金が多いというだけでなく、待望の大物を世に送り出したのだ。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る