「5億越え」も出たセレクトセール。
新世代の種牡馬たちは明暗くっきり

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

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 日本最大の競走馬のセリ市である「セレクトセール2020」(日本競走馬協会主催)が、7月13日と14日の2日間にわたり、苫小牧のノーザンホースパークで行なわれた。

5億1000万円の値がついた「シーヴの2019」(C)Japan Racing Horse Association5億1000万円の値がついた「シーヴの2019」(C)Japan Racing Horse Association 1998年に第1回が開催されてから今年で23回目。その間に、ディープインパクトやキングカメハメハといった同セール出身馬、それらの産駒たちも活躍し、7月8日にはダノンファラオがジャパンダートダービー(大井/ダート2000m)を制したことで、セール出身馬による「日本と世界各地のGI・牡馬混合GⅠの勝利数」が合計100勝に到達した。こうした背景から、2010年以降は総落札額、平均落札額ともに右肩上がりで、世界から注目される競走馬セリ市になった。

 しかし、今年のセレクトセールは特殊な状況での開催となった。

 ひとつは、ここ数年のセールを牽引してきたディープインパクトとキングカメハメハが、昨年に相次いで亡くなったことだ。当然、この両種牡馬の産駒にはプレミアがつく。同時に、次に市場の主力となるのはどの種牡馬の産駒になるのか、今後もこの2頭の産駒のような"億超えホース"は現れるのか、といったことが注目された。

 もうひとつは、新型コロナウイルス感染拡大の影響がある。牧場関係者、馬主、調教師、メディアが一か所に集まり、活発な交流が行なわれるセリ市は大きなリスクが伴う。そのため、今年はHBAトレーニングセール(日高軽種馬農業協同組合主催)と千葉サラブレッドセール(千葉県両総馬匹農業協同組合)が中止になり、JRAブリーズアップセール(日本中央競馬会主催)と九州1歳市場(九州軽種馬協会主催)は、セリ場での口頭の入札ではなく、インターネットやメールによる入札となった。

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