池添騎手演出の完璧なアーモンドアイ包囲網。グランアレグリアが安田記念を制覇 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 今回、その爆発力を存分に発揮させたのが、コンビ2戦目となった池添謙一騎手である。グランアレグリアの2度目の栄冠獲得は、同馬を巧みに導いた彼の殊勲と言っても過言ではない。

 これで、池添騎手はGI26勝目。ここ一番で騎乗馬にフィットし、"自分の立ち回り"に持ち込むことで、騎乗馬の全能力を引き出すことに長けている。泥臭い勝ち方よりも、鮮やかな勝ち方が多いのは、それだけ愛馬とジャストフィットしているからだ。

 グランアレグリアは本来、クリストフ・ルメール騎手のお手馬。アーモンドアイのドバイ遠征が、前走のGI高松宮記念(2着。3月29日/中京・芝1200m)とかぶることから、池添騎手に騎乗が巡ってきた。もしドバイ遠征がなかったら、安田記念で初コンビとなった可能性がある。1戦多くコンビを組めたことは、巡り合わせの"妙"と言えるだろう。

 もちろん、そうした幸運だけで今回の勝利につながったわけではない。池添騎手は、実に周到な乗り方をしている。

 最大の見せ場は、4コーナー。自身の外には馬を接近させないようにしつつ、一列後ろのインを追走するアーモンドアイに対しては、前で手応えの怪しくなっていたヴァンドギャルドやセイウンコウセイ(牡7歳)らが壁になるようにした。加えて、アーモンドアイを自身の外にも簡単に回り込ませないよう、外から仕掛けてきたケイアイノーテック(牡5歳)まで使って、自らの勝ちパターンを崩すことなく、"アーモンドアイ包囲網"を作ったのだ。

 ケイアイノーテックとの間隔をチラリと確認する池添騎手が、実に心憎かった。

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