コントレイルに重ねたディープの姿。ダービー圧勝→無敗の三冠馬親子誕生か (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 そして、レースがスタートしてすぐ、その自信は"確信"に変わる。関西の競馬専門紙記者が言う。

「ダービーはメンバーの顔触れからして、テンがドスローになることは目に見えていました。そこで、陣営としては、前半の位置取りが後方になった皐月賞のようなレースだけはしたくなかった。だから、ゲートが開いて、サッと2、3番手のいい位置が取れた時には、(陣営は)早くも『勝った』と思ったんじゃないですか」

 向こう正面に入ると、あまりのスローの流れに嫌気がさしたのか、マイラプソディ(牡3歳)の手綱を取る横山典弘騎手が、馬群の後方からまくり気味に上がっていって先頭に躍り出た。

 今回のレースのなかで、最大のハプニングと言ってもいいかもしれない。

 ともあれ、福永騎手がレース後に話したとおり、そうしたことが起こること、しかも、そうしたことを起こすのが横山典騎手であることは、あらかじめ「わかっていた」という。

 ゆえに、馬も、騎手も、そのハプニングには少しも動じなかった。

 ただ、まくってきた馬が逃げ馬の前に出て、その結果、否応なしにポジションを下げさせられて内に押し込められるのは嫌だった。そうなると、直線に向いた時に馬群に包まれ、出るに出られない、ということが起こりかねないからだ。

 しかしそんな心配も、杞憂だった。

 行きたい馬を先に行かせると、直線を迎えたところで、馬群の外に抜ける進路がぽっかりとできていた。

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