ディープ産駒初の牡馬二冠馬誕生か。ダービーに挑むコントレイルの勝算 (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 では、ダービーでの勝算はどうか。

 コントレイル自身、ダービーの2400mという距離は、本質的には適距離ではないかもしれない。だからといって、割引材料になるほどのことでもない。十分に守備範囲だ。

 とはいえ、例年ダービーには、この時期に目に見えて状態を上げてくる馬や、高い成長力を見せる馬がいる。また、2400m戦を「待ってました」とばかりに、秘めた能力を発揮してくる馬もいる。

 つまり、ダービーでは皐月賞以上に、ハイレベルなライバルが集う。

 そのライバルたちを蹴散らすためには、自らもレベルアップを図る必要がある。加えて、陣営としては「皐月賞のような競馬ではダメ」といった共通認識があり、新たに露呈した課題克服が重要になる。その点について、先述の専門紙記者が再び語る。

「後方一気の競馬は、見た目には"強い"という印象を残すかもしれませんが、実はリスクが多い。流れに左右されるし、脚を余して負けたり、取りこぼしたりすることがあるんです。ましてや、ダービーともなれば、みんな、目の色を変えてきますから、隙は見せられない。

 そこで、陣営は『ダービーでは、皐月賞のような競馬ではダメだ』と。やはり、コントレイル本来の"好位抜け出し"の競馬が、『ここでは絶対に必要だ』と考えているんです」

 そうして、コントレイルはこの中間、もう一段上のパワーアップを図ると同時に、入念なゲート練習を行なっている。もちろんそれは、皐月賞のようなことを起こさず、スタート後に好位置を取れるようにするためだ。

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