デアリングタクト、オークス制覇に唯一心配点。二冠達成の確率は? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 しかしながら、不安がまったくないわけではない。関西の競馬専門紙記者が語る。

「桜花賞が、タフな競馬でしたからね。そこでがんばった分、ダメージが残っていないか、心配です。実際、関係者によれば、『レース直後はかなり疲れた様子だった』ということで、『体重が減ってしまって、両トモには張りが見られた』そうです」

 ただこの点に関しては、レース後すぐに放牧に出して、心身両面のリフレッシュを図ったことで、今では改善が見られるという。

 現に、放牧先から帰って来てからの調整は順調で、1週前の追い切りでは、6ハロン81秒5-1ハロン11秒9の時計を出して、元気なところをアピールした。

 おそらく桜花賞のダメージは、完全には抜け切っていないだろう。だが、この種の消耗は、この時期にクラシックを戦う馬であれば、多かれ少なかれあること。その意味では皆、横一線である。仮に当時の馬体重が多少減っていても、それだけで大幅に割り引く必要はない。

 問題はむしろ、オークスがこの馬にとって、"初モノづくし"のレースになる、ということだ。

 2400mの距離、左回り、さらには長距離輸送......。

「距離と左回りは、あまり気にする必要はないと思います。逆に、血統面からして、プラスのほうが大きいかもしれません」

 先述の専門紙トラックマンは、そう分析する。一方で、「輸送は心配です」と言う。

「デアリングタクトは、もともとテンションの高い馬で、栗東トレセンから最も近い京都競馬場への輸送でも、テンションが上がってしまうんです。事実、桜花賞でもイレ込んで、レース中には引っかかりそうになっていました。

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