「不運の連続」アーモンドアイ。
ヴィクトリアMで流れを変えられるか

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yoshifumi Nakahara/AFLO

 ただ、ドバイの国際競走が中止になったことで、アーモンドアイは使いたいレースを使えなかった。そのことは事実であり、レースで走っていないにもかかわらず、海外への輸送をこなし、帰国後には長い検疫も課せられた。

 これが、肉体面、精神面に及ぼす影響はないのだろうか。

 あくまでも重箱の隅をつつくレベルだが、いかにアーモンドアイとはいえども、不安や心配が一切ないわけではない。

 第一、昨年末の熱発後に挑んだ有馬記念の際にも、陣営はレース直前、軽症であることを強調し、状態は「いつもどおり」と公言していながら、あの体たらく。4角で"らしくない"止まり方をして、16頭中の9着に敗れている。

 この時の敗因については、「距離が長かった」という声もあるが、程度のほどはともかく、熱発で順調さを欠いたことが影響したのは、確かだろう。

 無論、その時と今回がまったく同じ状況というわけではない。それでも、順調な過程を踏んできていないことは明らかで、使いたいレースを使えず、急きょ矛先を変えてきたという点は、有馬記念の時と同じだ。

 その時の「らしくない負け」がまだ記憶に新しいゆえ、「確勝と」は思いつつも、やはり一抹の不安は残る。

「それに、使うレースがマイル戦というのも、心配な点です」

 そう語るのは、競馬専門紙の記者である。

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