2020.05.11

NHKマイルC、伏兵ラウダシオンを
勝利に導いたジョッキーの「選択」

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 おそらく、誰かが競り合っていかねば、悠々と逃げ切られてしまうだろう。だが、いまだ成長過程にある3歳馬の戦い。しかも、大半の馬がマイルまでの距離しか経験していない。もしその役目を担うことになれば、その時点で自らの勝利は、放棄することになるかもしれない。

 まして、ある程度控える競馬で結果を残してきた他の人気馬が、あえてそうしたリスクを負うことはない。

 さまざまな思惑が交錯するなか、未知数な距離について、恐れることよりも、信じることを選択したのが、ラウダシオン(牡3歳)の手綱を取ったミルコ・デムーロ騎手だった。

本命レシステンシアを退けて勝利を飾ったラウダシオン ラウダシオンの戦績は6戦3勝。芝1400mのオープン特別を2勝しているほか、前走のGIIIファルコンS(3月14日/中京・芝1400m)でも2着と健闘しているが、唯一経験しているマイル戦、GI朝日杯フューチュリティS(12月15日/阪神・芝1600m)では、勝ち馬から1秒差をつけられての8着と完敗を喫した。厩舎サイドは、こうした戦績から「ベストは1400m」と判断していたようだ。

 しかし、昨年もこのレースを勝っている鞍上は、そうとは決めてつけていなかったのだ。

 スタート直後、すんなりとゲートを出たレシステンシアは、馬なりで先頭に立った。片や、ラウダシオンはゲートの出はそれほどよくなかった。それでも、二の脚は速く、最初の200mに差し掛かったあたりで、レシステンシアの外に並びかけていった。