NHKマイルC、伏兵ラウダシオンを勝利に導いたジョッキーの「選択」

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 5月10日に行なわれたGI NHKマイルC(東京・芝1600m)。1番人気に推されたのは、「2歳女王」のレシステンシア(牝3歳)だった。

 前走のGI桜花賞(2着。4月12日/阪神・芝1600m)では、万全の仕上げでマイナス6㎏の馬体重で出走。そこで、重馬場のタフな競馬をこなしたこともあって、今回はさらに6㎏、馬体重を減らしていた。

 それでも、ダイワメジャー産駒らしい丸みを帯びたシルエットは維持できており、「ピーク」とは言えないものの、ひどく調子を落としている印象はなかった。加えて、4年前にも同じダイワメジャー産駒のメジャーエンブレムで、このレースを制しているクリストフ・ルメール騎手を鞍上に迎えている。

 2012年の勝ち馬であるカレンブラックヒルもそうだったが、これらスピードに長けたダイワメジャー産駒のよさは、その上質なスピードと、その持続力にある。つまり、それらが生かされる展開になってこそ、存分に力を発揮できる。

 ゆえに、序盤で抑えたレース展開、すなわち緩急のある流れとなったGIIチューリップ賞(3月7日/阪神・芝1600m)において、レシステンシアは伸びあぐねて3着に敗れた。

 ルメール騎手は、そうしたダイワメジャー産駒の強みと弱みをよく知っていて、実際に結果も出している。戴冠への準備は整っていた、と言っていい。

 となると、「ピークではない」にしても、レシステンシアを止めるのは、容易なことではない。この日の東京競馬場の馬場状態を考えても、普通に走りさえすれば、例年なら勝ち負けレベルとなる1分32秒台で走り終えるはずである。

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