フィエールマンが天皇賞・春を連覇。「ハナ差」で示した格の違いと底力 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 ともあれ、出走馬の中で唯一、上がり34秒台の脚を使っているフィエールマン。着差はわずかにハナ差だったが、同馬と2着スティッフェリオとの間には、容易には超えられない"深い溝"があるように思えた。

「フルパワー」での勝負となって、そこで惜敗止まりなのは、よく言う"GI級"。勝ち切ることができるのが、真の"GI馬"である。

 また、レース前に関西の競馬関係者がこんな話をしていた。

「フィエールマンは、3歳時にGI菊花賞(京都・芝3000m)、昨年の天皇賞・春とGIを2勝していますが、本質は中距離馬。3歳夏のGIIIラジオNIKKEI賞(福島・芝1800m)において、普通では届かないところから2着に食い込んでいるように、中距離向きのすごく切れる脚を持っていますから。

 ただ、折り合いに少し難があります。ゆえに、長い距離のレースでは、レース前半の折り合いが問題となります。そこさえうまくクリアできれば、最後は切れます」

 GI馬はほかに、衰えが感じられるキセキ(牡6歳)しかいないメンバー構成。そういう意味では、フィエールマンにとって今回のレースは、自分との戦いだった。

 つまり、自らの課題をクリアできるかどうか。道中、とりわけレース前半において、リラックスしてスムーズに走れるかどうか。それが、ポイントだった。

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