フィエールマンが天皇賞・春を連覇。「ハナ差」で示した格の違いと底力

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 相手と、内と外との違いはあったが、ゴール手前はまるで昨年の再現フィルムを見ているようだった。

 5月3日に行なわれたGI天皇賞・春(京都・芝3200m)は、フィエールマン(牡5歳)が制覇。史上5頭目の連覇を達成した。

 昨年はグローリーヴェイズとの壮絶な叩き合いの末、クビ差の勝利。今年は、先に抜け出したスティッフェリオ(牡6歳)を外から追い詰め、最後は激しく競り合って、2頭並んでゴール板を通過した。その瞬間、相手が勝ったかとも思えるほど、際どい勝負だったが、ハナ差先着した。

天皇賞・春で連覇を遂げたフィエールマン天皇賞・春で連覇を遂げたフィエールマン 鞍上のクリストフ・ルメール騎手は、フィエールマンを勝利に導いただけでなく、自らも2018年の秋からとなる、天皇賞・春秋4連覇という偉業をやってのけた。早くも「令和の盾男」との呼び声が上がっている。

 レース後のインタビューでルメール騎手は、直線を向いた時はフィエールマンの反応がよく、「楽勝かと思った」と語っている。

 だが、そこで一瞬、「モノ見をした」のがやや誤算だった。結果、「フルパワー」で、スティッフェリオとの叩き合いに臨まなければいけなくなった。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る