天皇賞・春の本命は、血統よりステップレースとの相性を重視 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 しかし、ステップレースからの分析では好材料が多いものの、血統面ではあまりいいデータがない。父キングカメハメハの産駒は芝、ダート、距離を問わず数々のGⅠを制しているものの、芝長距離戦には縁がなく、天皇賞・春は14頭が出走して2018年4着のミッキーロケットが最高着順だ。

 また、母の父ダンスインザダークは菊花賞馬で、父としても3頭の菊花賞馬を出すステイヤー種牡馬だが、なぜか天皇賞・春は未勝利。20頭が出走して2003年3着のダイタクバートラムが最高着順となっている。

 このように、血統面のデータでは強調材料は少ないが、レースの傾向は変わっていくもの。時には過去のデータを度外視するのも大事なことだ。キングカメハメハ産駒からはユーキャンスマイル、ケイアイドウソジンが芝3400m重賞・GⅢダイヤモンドSを勝っているし、ダンスインザダークの血がこのレースと相性がよくないのも巡り合わせだろう。そろそろ3200mのGⅠを勝っても不思議はない。

 ユーキャンスマイルは昨年の天皇賞・春で、1着のフィエールマンから1秒5差の5着に敗れた。だが、夏以降はGⅢ新潟記念(新潟/芝2000m)を勝利し、GⅠ天皇賞・秋(東京/芝2000m)4着、GⅠジャパンC(東京/芝2400m)5着と経験を積み、着実に力をつけている。3歳時に菊花賞を制したフィエールマンとは成長曲線が異なるため、その差は縮んでいるはずだ。キングカメハメハ産駒初の天皇賞・春制覇に期待したい。

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