桜花賞のダークホース。デアリングタクトはウオッカ以来の「大物」か (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sports Nippon/Getty Images

 そして、その目の正しさが、次のエルフィンSで証明されることになる。

 このエルフィンSのレース後、2着に入ったライティアに騎乗していた武豊騎手も、「勝った馬が強かったね」と脱帽している。

 父エピファネイア、母デアリングバードという血統。母は無名の未勝利馬だが、母の母は重賞3勝のデアリングハート。3歳時にも、桜花賞3着、GI NHKマイルC(東京・芝1600m)2着と活躍している。

 血統的には一本筋が通っていて、これくらいの活躍馬が出てもおかしくない背景があった。

 また、デアリングタクトを管理するのは、杉山晴紀調教師。「次世代のホープ」と期待されているトレーナーのひとりだ。先述の専門紙記者が語る。

「(杉山調教師は)もともと栗東の武宏平厩舎で調教助手をしていて、その際には、菊花賞馬のスリーロールスを手がけたこともあります。その意味では、GI馬の育て方は知っている、と言えます。実際、勝ち鞍は年々増えています。

 仕事ぶりは、とにかく一生懸命。最近は、その仕事ぶりが評価されて、大きな牧場や有名なオーナーからの依頼も多くなっていると聞いています」

 そもそもデアリングタクトは、億を超える馬が何頭も出る「セレクトセール」において、1200万円(税別)で落札された地味な存在。その馬の秘めた素質を開花させたのが、栗東の「若きホープ」と言われる新進気鋭のトレーナーである。

 何か、大きなドラマが生まれそうな、不思議な鼓動の高まりを覚える。

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