1着賞金はなんと11億円。今年から始まったサウジCの実態に迫る (3ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 そんなサウジアラビアで、国際招待競走が行なわれるとアナウンスされたのは、およそ2年前。その一報は、競馬界に限らず、世界的なビッグニュースとなった。近年では、隣国UAEで開催されているドバイワールドカップデーなどに自国の調教馬を送り出すようになっていたが、サウジアラビアと言えば、観光ビザの発給がなく、「世界で最も入国するのが難しい国」と言われていたからだ。

 さらに、驚きを持って伝えられたのは、先にも触れた賞金額。メイン競走となるサウジC、そのひとレースの賞金総額が世界最高の2000万USドルになるとされ、世界中の競馬関係者に大きなインパクトを与えた。

 なお、当初は昨年の開催予定だったが、昨年秋の訪問ビザ解禁を待って、1年先送りして開催されることになった。その間、最初は計画になかった芝コースの整備も行なわれ、サウジCだけでなく、複数の国際招待競走が行なわれるカーニバル開催となった。

「この開催を通じて、サウジアラビアの競馬の発展に努めたい」

 そう語るのは、リヤド競馬クラブのアドバイザーであり、公式アンバサダーのハリー・ハーバート氏だ。以前は、凱旋門賞馬トレヴなどを所有するカタールのアルシャカブレーシングのマネージャーだったが、昨年6月よりこの職に就いた。

「今回は、サウジアラビア以外に世界10カ国から競走馬が集まり、競馬が行なわれている世界中の国々にレース中継もされています。そんななかで、サウジアラビアの調教馬も勝利したほか、いろいろな国の馬が活躍。これによって、より多くのホースマンがこの開催に興味を持ったことでしょうし、世界の競馬カレンダーに、確実に刻まれたはずです。

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