1着賞金はなんと11億円。今年から始まったサウジCの実態に迫る (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 そして、ダートスプリント戦のサウジアCでも、武豊騎手騎乗のマテラスカイが2着と好走。メイン競走のサウジCでは、ゴールドドリームが6着、クリソベリルが7着に終わったものの、アメリカの強豪馬相手に奮闘し、それなりに存在感を示した。

 さて、今回行なわれた7つの国際招待競走において、純血アラブのレースを除き、3つの芝レースは、バーレーン調教馬が2勝、フランス調教馬が1勝、ダート戦3レースは、日本調教馬、アメリカ調教馬、サウジアラビア調教馬が、それぞれ1勝ずつを挙げた。

 サウジCは、早くからその高額賞金が話題となって、アメリカを中心に超ハイレベルなメンバー構成となった。実際、日本からも年末のGIチャンピオンズC(中京・ダート1800m)を制したクリソベリル、同2着のゴールドドリームと、現役トップの座を争う2頭が出走している。

 そのほか、芝3000m戦のターフハンディキャップには長距離レース界のビッグネームが集まったが、それ以外のレースは、一線級の馬が顔をそろえたとは言えず、初開催への"偵察"といったメンバー構成となった。おかげで、ここに標準を合わせてきたバーレーン勢の台頭を許した印象だ。

 サウジアラビアにおける近代競馬の始まりは、今から55年前と、世界的に見れば、その歴史は浅い。もともとアラブ馬による競走が主流で、王族の愉しみとして、極めてドメスティックに行なわれてきた。

 しかし、21世紀を迎える頃にはサラブレッドが導入され、以降はサウジアラビア国内でも、サラブレッドの生産に力を入れるようになった。今では、中東エリアでは、断トツのサラブレッド生産国となっている。

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