牝馬2頭が有力視されるシンザン記念。
朝日杯FS組が人気の盲点を突く

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 年が明けて、中央競馬もはや2週目。今週は、土曜、日曜、月曜日の3日間開催となります。

 重賞は、1月12日に行なわれるGIIIシンザン記念(京都・芝1600m)と、1月13日に行なわれるGIIIフェアリーS(中山・芝1600m)と、ふたレース組まれています。ともに3歳馬の重賞となりますが、クラシック戦線における重要性という意味では、シンザン記念のほうを注視すべきでしょう。

 シンザン記念では過去、ジェンティルドンナ(2012年)とアーモンドアイ(2018年)がここを勝って、その後に"牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)"を達成しました。そのほか、2011年に3着と奮闘したマルセリーナ、2016年に2着と好走したジュエラーも、のちに桜花賞を制覇。近年、牝馬にとっては重要な、"クラシックへの登竜門"といった意味合いが強くなっています。

 そして今年も、牝馬クラシックを狙えるレベルにある強い牝馬が2頭出走。人気の中心になりそうです。

 その2頭とは、サンクテュエール(牝3歳)とルーツドール(牝3歳)。やはり、まずはこの2頭に注目すべきでしょう。

 サンクテュエールは、美浦の藤沢和雄厩舎が送り込む素質馬。前走のGIIIアルテミスS(2019年10月26日/東京・芝1600m)では、リアアメリアの2着。すでに重賞での好走歴があることは、強調材料になります。

 リアアメリアがのちのGI阪神ジュベナイルフィリーズ(2019年12月8日/阪神・芝1600m)で大敗を喫したことで、アルテミスSのレースレベルを疑問視する声も上がっているようですが、阪神JFにおけるリアアメリアの敗戦は、馬場の傾向や同馬の気性面などに敗因があったように思います。リアアメリアが今年初戦で巻き返す可能性は大いにありますから、アルテミスSにおけるサンクテュエールのレースぶりは十分評価していいのではないでしょうか。

 鞍上を務めるのは、クリストフ・ルメール騎手。年末年始は例年どおり日本を離れ、今年も金杯が開催された第1週は不在でしたが、存分にリフレッシュして今週から復帰します。

 前半に騎乗停止を繰り返して出遅れた2019年も、終わってみれば、2位の川田将雅騎手に10勝以上の差をつけてリーディングを獲得。今年も、短期免許で来日するであろうクリストフ・スミヨン、ダミアン・レーン級の名手を除けば、中央競馬で最も信頼できるジョッキーと言えます。今年最初の重賞騎乗で、いきなり結果を出してもおかしくありません。

 振り返れば、アーモンドアイのシンザン記念は、騎乗停止中だったため、ルメール騎手が唯一乗れなかったレースでしたね。今年のサンクテュエールでは、クラシック本番まで乗り替わることなく、進めていきたいのではないでしょうか。

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