横山ルリカが2019年の競馬を総括。漢字ひと文字「外」で表現した (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

 49歳のベテランであるデットーリ騎手は、私が競馬を始めてから初の来日でしたが、トラックマンの方々から「すごい騎手だよ」と聞いていて、和田竜二騎手も憧れの騎手だと話されていたので、とても楽しみにしていました。今回は短い滞在だったので、また日本でレースが見られることを期待しています。

 まだ20代半ばの、マーフィー騎手とレーン騎手もすばらしかったです。現地で観戦しているとマーフィー騎手がよく勝つので、迷ったときは「マーフィー騎手なら!」と本命にしていました。とくに根岸SとジャパンCでの勝利にはしびれました。

 レーン騎手は「令和の"レ"ーン」と話題になったこともあり、すぐに名前を覚えました。現地で見た宝塚記念は、リスグラシューでまさかの先行策に出て、今まででは考えられない位置でレースを進めてキセキに3馬身差の完勝。テン乗りにも関わらず、失敗したときの批判を恐れずに思い切った騎乗ができるすごさを感じました。リスグラシューはあそこから覚醒してさらに強くなり、そのあとのコックスプレート、有馬記念の大勝利へと繋がったのかなと思います。あの宝塚記念は、上半期で一番印象に残っています。

 外国人騎手が次々と来日したことで、日本人騎手も刺激を受けたはずですよね。若手の騎手もどんどん海外に出ています。海外での修行から帰国した22歳の坂井瑠星騎手も、重賞3勝と活躍しました。馬、騎手ともに、すごく"グローバル"な1年だったのではないでしょうか。

 2019年に注目を集めた騎手としては、藤田菜七子騎手も外せません。JRAの女性騎手として初めてJRA重賞レース初制覇を果たし、スウェーデンで開催されたウィメンズジョッキーワールドカップも優勝しました。

 菜七子騎手がデビューして間もなく、美浦トレセンで取材させていただいたんですが、私にとって初めての美浦だったので、とても思い出に残っています。直前に菜七子騎手が落馬をしてしまい、おでこにケガをされていたので「撮影は後日かな」と思っていたら、「前髪で隠すので大丈夫です。今日やりましょう」と言ってくださり、嬉しかったです。

 お話を聞いていても、節々に負けず嫌いの一面が見え、筑波大学では地道なトレーニングをしっかり積んできたそうです。現在の活躍は、あの負けん気と向上心があってこそなのかなと思っています。親目線のようですみません(笑)。これから女性騎手として、武豊騎手のようなレジェンドとして長く活躍されることを楽しみにしています。

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