有馬記念でサートゥルナーリアは巻き返す。
「謎の弱点」克服で勝算あり

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 フランスの名手スミヨン騎手が、再び手綱をとることも心強い限りだ。

 そもそもスミヨン騎手は、調教で初めてサートゥルナーリアに乗った時、こう絶賛したという。

「素晴らしい。こんな馬が世界にいるのか」

 世界のGIをいくつも勝って、名馬の背中を知り尽くしたスミヨン騎手にして、そう言わしめるほどの馬だ。同騎手にしても、前走の凡走は度外視して、今度こそ「勝算あり」と踏んでの連続騎乗だろう。

 サートゥルナーリアには、さらに心強いデータがある。ここ5年の有馬記念では、前走で苦杯をなめた馬の巻き返しが3度もある。

 2014年にジェンティルドンナがジャパンC4着から、2017年にはキタサンブラックがジャパンC3着から、そして昨年もブラストワンピースが菊花賞4着から巻き返しを図って戴冠を遂げた。

 思えば、有馬記念は"巻き返し"の歴史である。前走で力を出し切れずに悔し涙を飲んだ馬が、この一年を締めくくる大一番で、大逆転劇を演じてきた。

 多くの競馬ファンは、そこに共感し、胸を熱くしてきた。

 今年の"巻き返し劇"の主役は、無論この馬、サートゥルナーリアである。

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