朝日杯FSは「3強」ムード濃厚。それでも無印の超大穴が期待できるぞ (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 なかでも、期待しているのは、「3強」の中で唯一の関東馬であるサリオスです。

 なにしろ、2歳馬にとっては総合力が求められる過酷なコース、東京のマイル戦が舞台となる前走のサウジアラビアロイヤルCをレコード勝ち。それも、好位につけて、メンバー最速タイの上がりをマークしてのものでした。最後の直線では、外からクラヴァシュドールが並んでくると、そこから仕掛けて突き放す、という芸当を披露。その勝ちっぷりは、文句のつけようがありません。

 サリオスが、今回のメンバーはおろか、今年の2歳牡馬全体の中でも、最上級の能力を秘めていることは、まず間違いないと思います。さらに、ポジションを取れて、速い時計でも走れるというのは、阪神JFの結果を踏まえても、有利なポイントと言えるでしょう。

 今回の鞍上は、堀宣行厩舎所属馬にとって、切り札的な存在となるライアン・ムーア騎手。サリオスのような大型馬とは絶対に手が合うはずですし、2週前の追い切りに騎乗した段階で「息遣いも、動きも問題ない」と、いい感触をつかんでいたそうです。しっかりと勝ちにいく競馬をしてくれると思います。

 タイセイビジョンとレッドベルジュールも、当然勝ち負けになる馬だと思っていますが、現時点では、タイセイビジョンが2番手、少し危ういところがあるレッドベルジュールが3番手、というのが個人的な見立てです。

 タイセイビジョンは、マイル戦の経験がない点が心配ではありますが、京王杯2歳Sでは、外から回していって、スローで逃げていたビアンフェ(牡2歳)を軽々と差し切りました。こういった競馬ができる馬は、距離が延びても難なく対応できるはず。2走前のGIII函館2歳S(2着。7月21日/函館・芝1200m)は、明らかに距離が短かった分の負けでしたしね。

 レッドベルジュールについては、デイリー杯2歳Sのレース自体は強い内容でしたが、前半にポジションを取ろうとしなかったのが気になりました。

 結果的には、最内をロスなく、落ち着いて回ることができて、勝負どころから直線にかけても、内ラチ沿いがポッカリと空いて、控えていたことが大正解というレースになりましたが、今回は16頭立てのGI戦。デイリー杯2歳Sのように、前半をフワッと乗っていては、時計が速い今の阪神の馬場を鑑みても、厳しいレースを強いられるのではないでしょうか。

 直線で大外を回しては届かないでしょうし、だからといって、デイリー杯2歳Sと同じく、内が簡単に開くかとは思えません。今回、クリストフ・スミヨン騎手に乗り替わるのはプラス材料ですが、「3強」の中ではちょっと分が悪いのではないか、と考えています。

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